中禅寺湖尾瀬ハイキング

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中禅寺湖から尾瀬を歩いてつなぐ、3泊4日65kmのハイキングだった。歩き、食事をして、寝る。ただそれだけの旅でもあった。考えたことといえば、ほとんど何もなく、地図を見て、自分の足元を見て、森の中の木々を見ている時間が全てであった。朝靄の陰る中禅寺湖の美しさと、紅葉が始まり枯葉の湿原は全く別の種類の美しさを含んで居た。水分を多分に含んだ空気と、気持ちよく乾いた空気の違い。台風によって倒された沢山の巨木の隙間を縫って僕たちは歩いた。緑色の世界の中で、時折風に揺れる蛍光ピンクのテープだけが、自分と別の視点をつなぐ唯一の手がかりであった。倒された木々は朽ちて、土に還る途中。2泊目の日光澤温泉の入り口に行方不明者の貼紙が貼ってあった。無事を祈って帰りを待つ人がいる。それでもきっと、木々に囲まれて、自分の体が朽ちて分解されて土に還っていくことを望む人もいるのだろう。ただゆっくりと歩くことで、僕たちは移動をすることができる。全ての生物がそうしているように、歩いて、何か別の地点へといく。その時に自分が人間であることは、動物でもあるということを再確認した。鹿には沢山出会えたけれど、熊には会えなかった。会わないということがお互いのためでもあり、保護しているという事は理解しているのだけれど、どうしても彼らの影を森の中で追ってしまう。ずっと憧れていた尾瀬は、雄大な力強い自然そのものだった。アルプスの山々のもつ強さではなく、尾瀬のもつ強さは大きくて広い。ここに尾瀬があるという事を、自然も人間もある種誇りに思っているようだった。そして人間は今まだこれをこの状態で守り抜いているということに安心感を覚えるのだろうか。木々を倒しコンクリート舗装をする事を発展だと考えて来た人々と、尾瀬は無縁なようで無縁ではない。大きな自然に守れた尾瀬だって、人間から全く被害を受けることはないと保証はできない。