雪の降る高尾山へ桜を観に

f:id:DHFclub:20200330125604j:image

朝、ベッドからベランダを覗くと、ゆっくりと雪の花が舞っていた。天気の悪い日に家に篭って過ごすのはあまりにも勿体ない。天気の悪い日こそアウトドア。天気のフィルターというのは僕たちの感覚に大きなエフェクトをかけているので、悪天候の時に外に出かけると晴天の時のそれとはまた別の趣があってそれもまた乙。個人的におすすめなのは豪雨の動物園と雪の低山。今回の場合は雪なので低山。低山の中から桜も拝める可能性のある高尾山を選択。

f:id:DHFclub:20200330175822j:image

中央線に乗り込み、西に向かえば向かうほどシャバくなってくる雪に不安感と不信感をいただきながらも京王高尾山口駅に到着。コロナの関係で高尾山温泉は臨時休業っていうのがちょっと寂しい。高尾山口に着いた頃には雪は水分を多分に含んだみぞれに変わっていた。これはマズい思いながらも登山口まで歩く。シャバシャバのみぞれがレインウェアを濡らしていく。登山口から高尾山頂を覗いてみても、木々には薄らと雪が被さっている程度に見える。これはもうロープウェイで一気にハイクアップして高度の魔法に賭けるしかないという事でロープウェイに乗車。乗客は僕たちを含めて2組程度。

f:id:DHFclub:20200330175846j:image
f:id:DHFclub:20200330175851j:image

ロープウェイで高度が高くなるにつれて、車窓からの景色は雪深くなってくる。白銀の世界とは言えないにしても、ゆるやかな優しい白さが木々の緑に被さっている。心を弾ませながら車窓からの眺めを楽しみ、6分間の空中浮遊を終えて到着。ロープウェイから降り立つと、そこは登山口付近の娑婆さからは考えられない雪の世界。

f:id:DHFclub:20200330175916j:image
f:id:DHFclub:20200330175913j:image

水分を少しだけ含んだ降り積もった雪をぎゅっぎゅっと音を立てながら歩く。もうそれだけで楽しい。年に数回だけ楽しめる雪景色の高尾山。いつもはコンクリートに舗装された道だけれど、今日は全面が雪に覆われている。木々には雪が降り積もり、雪の重みで撓んでいた。雪を見ると丸めて投げ付けたくなるのは生きている人間のカルマなので、歩いては雪玉を作り奥さんにぶつけるを繰り返す。

f:id:DHFclub:20200330175954j:image
f:id:DHFclub:20200330175947j:image
f:id:DHFclub:20200330175950j:image

幾多の反撃に遭いながらも薬王院の山道までたどり着く。山道を抜けて薬王院へ。薬王院の門は落雪の危険からか封鎖されていて迂回。雪に覆われた薬王院と天狗様に今年も宜しくお願いしますと手を合わせる。いつもお世話になっております。薬王院をお参りしながら高尾山山頂を目指す。途中滑って転んだりしながら、山頂に到着。

f:id:DHFclub:20200330180030j:image
f:id:DHFclub:20200330180022j:image
f:id:DHFclub:20200330180026j:imagef:id:DHFclub:20200330180136j:image

山頂には幾分かの桜が咲いていて、薄いピンクの花々が白い雪の奥に見え隠れしていた。いつもなら新宿のビル群や、富士山が見える眺望も、見えるのは白くて漂う小さな雪の粒だけ。何も見えないという事は、別のものが見えているという事なのだ。みんな大好きお掃除小僧にも雪が降り積もっていて大変可愛くて良い。

f:id:DHFclub:20200330180052j:image

いつもはちゃんと調理をするのが僕の登山のルールなのだけれど、こういった時は別格で、カップラーメンを作って食べる。バカうま。テクノロジーとサイエンスの味が、口から脳に直接突き抜ける。麺を秒で食べて、おにぎりを半分残ったスープの中に入れてジャンクおじやを精製。米の純朴さと繊細な甘みを細胞レベルでぶち壊し、ジャンクなおじやがこの世界に誕生。1度損傷した脳が再生する間も無く、脳にもう一度大きな損傷が生じる。それが脳飯。間違いない。

f:id:DHFclub:20200330180122j:image

美味しい食事を楽しんだ後は、もう寒さに震えているだけなのですぐさま下山。6号路も楽しそうだよねとか喋っていたのだけれど、これはロープウェイでの即下山が最適解という事になり、来た道をそのまま逆行。帰り道は必然的に降り坂になるので、リスクを覚悟で雪の上を滑り降りながら下山。薬王院を足早に通り抜けて、ロープウェイにジョイン。秒速で下山し、秒速で家に帰り、秒速で暖かいお風呂に浸かって世界の尊さを知った1日だった。

何度も登った山であっても環境や条件が違えば、それはほとんど別の山になる。それは山に限った事ではなくて、この世界の全てがそうなのだ。何かが違えば、全く違うものになる。僕たちはそのような世界で息をしている。

ウルトラライトハイキング Hike light, Go simple. ウルトラライトハイキングのバイブル文庫化! (ヤマケイ文庫)