アナキストの人生について|森元斎『アナキズム入門』

 

アナキズム入門 (ちくま新書1245)

アナキズム入門 (ちくま新書1245)

  • 作者:森 元斎
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/03/06
  • メディア: 新書
 

勝手に壊れて、その後に立ち上がるのは、優しい社会であって欲しい。

栗原康『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』が大変面白かったので他にもアナキズムについて勉強するかと思い森元斎『アナキズム入門』を読んだ。これも大変面白い。アナキズムという思想の影響なのかわからないけれど、若手のアナキズム研究者の文体はポップでドライブ感があって読んでいて純粋に面白い。栗原さんはもう完全にぶっ壊れてしまっていたけれど、本書の著者は丁度良い塩梅のバランス感のある文体でこちらも良い。とても良い。文系ヒップホップとか好きそう。

『アナキズム入門』はその名の通り、まさにアナキズムの入門書である。入門書というと、アナキズムの定義とは〜とか、何やら学術的な難しい言葉が並ぶのではと身構えてしまいがちだけれど、アナキズムの入門書はそんなに難しいものではない。アナキズムを学ぶのであれば、アナキズムの定義や言語や理論を学ぶよりも、アナキスト達の生き様を見た方が早い。彼らがしてきた事、されてきた事、発してきた言葉、流れていて流された血について学んだ方がより自然にアナキズムの輪郭をなんとなくではあるけれど掴む事が出来る。という事で本書では、時代順に著名のアナキストの人生をが紹介される。その全員の人生こそがアナーキーなのだ。紹介されているのは、フランス生まれのアナーキストであり、「アナーキー」という言葉を初めて使ったプルートン。ロシアの貴族出身の奇人であるバクーニン。同じロシア出身の聖人クロポトキン。スルーハイカーでもあるルクリュ。あともう1人いた気がするけど忘れてしまったけれど計5人のアナキストが紹介されている。

ほとんど多くのアナキストと同じように人生の最後の方では良く分からないやつになってしまう彼らの人生はマジでアナーキーという感じがして良い。個人的には現代風に言えばハイカーでもありブロガーでもあるルクリュも推しなのだけれど、さらに上をいくのが奇人バクーニン。バクーニンの人生における幸福とは何かと聞かれた際の返しが最高に良い。バクーニンにとっての人生の幸福とは

「第一に自由のために闘い死ぬこと、第二に愛と友情、第三に科学と芸術、第四に喫煙、第五に飲酒、第六に食事、第七に睡眠」

なのだ。渋すぎる。かっこいい。このようなアナキストの生き様がとても魅力的に描かれていて良い。アナーキーはかっこいいのだ。