現代アートの祖・デュシャンの入門書|平芳幸浩『マルセル・デュシャンとは何か』

マルセル・デュシャンとは何か

マルセル・デュシャンとは何か

マルセル・デュシャンとは何か

  • 作者:平芳幸浩
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/10/23
  • メディア: 単行本
 

現代アートを包括的に紹介している本を読むと必ず出てくるのが世界最大級のアートフェス・アートバーゼルと現代アートのオリジンと言われるマルセル・デュシャンで、僕はデュシャンの事がさっぱりわからない。さっぱり分からないのに現代アート以外の本にも時々名前が出てくるものだから、僕の中ではほとんど記号的な存在になっていたデュシャン。デュシャンについて少しでもわかった気になれればいいよねとか思って手を伸ばしたこの本はデュシャンの入門書の決定版ではないでしょうか。デュシャン?あートイレの?くらいな知識しかない僕でもデュシャンの輪郭くらいは見えるようにになった。そして余計にデュシャンがわからなくなった。

僕がデュシャンと聞いて思い出すのは大学の講義で現代アートについて学んでいる時に、担当の先生がよくデュシャンと言っていた事だ。著書の平芳幸浩という名前になんとなく既視感があるぞと思って調べてみたらなんとその学生時代の講義を受け持っていた先生がこの本の著書の平芳幸浩先生だったのだ。平芳幸浩先生はコムデギャルソンのシャツなんかをサラッと着こなして、ちょっとゆとりのあるサイジングのブラックパンツを履いているような品のあるおしゃれな青年のような先生で、それはもう期待せざるを得ないという事で食い入るように読んだ。

『マルセル・デュシャンとは何物か』の内容

デュシャンとは何物かという問いに対して、この本では簡単に答えを出さない。現代アートの始祖と呼ばれたり、神格化されている存在である事はわかるのだけれど、デュシャンが生きてきた軌跡を追いつつも、その中で『泉』『大ガラス』等の著名な作品を解説していき、レディメイドの概念までも説明される。デュシャンは泉の人でしょとか考えていた僕に先生は、泉の作者は本当はデュシャンではないかもしれないとか言い出すからもうヤバイ。さらにデュシャンには『与えられたとせよ』というとんでもないエッチなマスターピースがあり、この作品を作成している、つまりは生きている間には作品を作成している事をバレないように周到に隠していたという。その理由については憶測でしかないけれどいくつか列挙されており、ある女性との恋愛関係なんかも出てくるのだから余計デュシャンという人間が掴めなくなる。ただ新しい扉を開いてしまったような生理的な危機感と、知的欲求はぐいぐいとみたされていく。とてもポップに簡単に書かれているような説明が冒頭にあったのだけれど、僕にとってはなかなか難しく、内容を完全に理解することはで出来なかったのでまた読み直そうと思う。

おすすめ

この本は現代アートってなんだよとか思っている人やデュシャンてなんだよみたいな事を思っている人に是非読んでもらいたい本でした。