現代アートの買い方|宮津大輔『現代アートを買おう!』

2019年は初めてギャラリーに行きペインティングを買った記念碑的な一年だったように思う。初めて現代アートとしてのペインティングを買ってみると、アートはお金を出せば買うことができるという衝撃と、そのヤバいキマりかたに完全に嵌りそうになってしまっている。それでも僕が現代アートについて何も分からないも同じなのでアートコレクター宮津大輔さんの『現代アートを買おう!』というアート性を一切感じさせない度直球の新書を読んだ。勉強になるのでふむふむ言いながら読んだ。本で学んだ事を簡単にまとめる。

現代アート、超入門! (集英社新書 484F)

現代アート、超入門! (集英社新書 484F)

 

宮津大輔とは

この本を書いている宮津大輔は本業がサラリーマンのアートコレクター。それだけ聴くと親近感が湧くのだけれど、当時500万円の草間弥生の作品をローンを組んで購入し、嫁の家族に借金をしたり、自分の家をアーティストにデザインしてもらえばお金がなくても住宅ローンでお金を借りられるし、何より絶対に楽しい!という事で実際の著名なアーティストに家を作ってもらうという「ドリーム・ハウス・プロジェクト」を立ち上げて実際に今は自分でお住まいになっているという完全にアートに生きている方で読み進めていくうちに全く親近感をかんじなくなっていくのがすごい。それでも説明はわかりやすく、文体から想像できる穏やかな口調が良い。これからアートを買いたいと思っているという人は読んで損はない。あと普通に面白い。

現代アートとは

現代アートは世界的にはコンテンポラリーアートと呼ばれる。コンテンポラリーという言葉には「現代の」という意味があるが「同時に存在している」という意味もある。つまり作品の作者であるアーティストとコレクターが同時代に存在していて、お互いに交流を取ることが出来るものとして現代アートと宮津さんは定義している。コレクターとして成長し、さらにアーティストも成長をしていくという事が現代アートなら可能になる。

そして現代のアーティストが作品を作ればそれが全て現代アートになるわけでもない。時代の風潮や背景を芸術に落とし込んだものだけが現代アートであり、現代のアーティストが何も考えずに作成したアートは所詮「現在アート」に過ぎない。

現代アートの買い方

アートを買う方法は3つあり、1つがプライマーギャラリーから買う方法。次にセカンダリーマーケットと呼ばれるサザビーなどのオークションで買う方法。そして最後にアーティストと個人的なつながりをつくり直接買う方法がある。最も一般的なのがギャラリーから買う方法で、贋作が存在しないし、新人の作品などは数万円で買う事ができる。セカンダリーのオークションなどでは、贋作が出る可能性もゼロではなく、さらに値段もどんと跳ね上がる。最近のSBIオークションでは草間弥生の南瓜が9千万円で落札されていた。アーティストから直接買う方法は宮津さん的にはあまり好ましいとは言えない方法で、それは投資的な青田買いのイメージが払拭できないからでもある。さらに言えばそんな事はコレクターの仕事ではなくギャラリーの仕事なのだから黙っておけという意味もある。

ギャラリーに行ったらギャラリストに「プライスリストを見せてください」と言えば作品の値段が記載されたリストを見ることができる。値段が高いなと思った場合でもギャラリーとの信頼関係などによっては多少のプライスダウンも可能なので、どうしても欲しいけれどあと数千円安ければみたいな時にはお願いしてみるのも選択肢の1つとしてはある。さらに分割払いやローンでの支払いも可能なので、どうしても欲しい場合は簡単に諦めないでギャラリーに相談してみるのも有効。でもあんまり無理すると生活が破綻するので気をつけてね。
ギャラリーに展示されている作品の下に赤い丸いシールが貼ってあるの売約済み。青いのは商談中という意味。

作品の保存について

多湿な日本の気候にはアートが向いていない。そのため保存には気を使う事になる。長い間多湿な空間に置いておくとカビが生えたり、シミが発生してしまう。そしてこのリペア費用がめちゃくちゃに高いのでマジで気をつけないといけない。どうすればいいのかというと、定期的に風を通すのが有効。いつまでも倉庫に眠らせておくのではなく、壁にかけて楽しむことで空気に触れて加湿状態から抜け出す事が出来る。

ちばみに多くのコレクターは小さな貸し倉庫で保存していることがおおい。その場合貸し倉庫には湿度・温度が一定に保たれるものを選ぶことが重要。また日光にも弱いので額装時にアクリルをUVカットのものにすると効果がある。アートは全体的に貧弱で弱い。

アートを売る場合

アートを売る場合はオークションに出品することになるが、手数料がかかる。原則として落札価格の10%なので先日の草間弥生の南瓜は900万円の手数料が発生していることになる。やばすぎる。

海外では買えなくても

ヨーロッパはもとより、中国や韓国ではギャラリーデビューのアーティストに数百万円から数千万円の値段がつくこともある。これは本当におかしな事でアーティストの作品の価値はギャラリーを通して世界にでて、オークションなどのセカンダリーマーケットで評価される事で価値が決まる。その段階を全て吹っ飛ばして投資としてアートにお金を注ぎ込むやつらが海の向こう側にはうじゃうじゃいる。それでも日本のギャラリーでは若手作家の作品が数万円程度で買えたりと平和が保たれているため、僕のようなTHE平均的な社会人でも何かを諦めればアートを買うことができる。

アートを買う

僕はアートを沢山買えるほどお金があるわけではないので3作しかもっていない。それでもギャラリーを巡るには楽しい。今だったらインスタグラムで沢山情報が手に入るので仕事中にリサーチして、仕事が終わったらギャラリーを回るという生活が楽しい。時々みた瞬間に「すげー」とか「きゃわたんっ」とかいう感情ではなく「所有したい」とだけ思わせてくる作品がある。単純に所有したいと思わせる作品って一体なんなんだよと僕も思うのだけれど一回所有したいと思ったらそれは所有するまで消えることがない。だからアートには手を出すなよ危険だぞっていう感じなんだけれど、部屋にアートがある生活っていうのもなかなか乙なものなのでこの本を読んで安くて小さいペインティングなんかをサクッと買ってみると良いと思う。

現代アートを買おう! (集英社新書)

現代アートを買おう! (集英社新書)