アトピーと生活

ほとんど完治したアトピーの事を中心に

家族の美しさについて|植本一子『かなわない』

昨年亡くなったECDとその奥さんである一子さんの本が好きで本屋で見つければ買うようにしている。『かなわない』だけは何故かいつもいく本屋にはなかなか置いていなくて読む機会が無かったのだけれど、最近やっと入荷しているのを見つけて読んでいる。処女作『働けECD』ではコミカルでポップな文体と装丁でスラスラと読む事が出来た。『家族最後の日』では文体がECDの文体に似ているようで似ていない、オリジナルの文体を作り上げ、最新作『降伏の日々』では終盤に危険なドライヴ感じさせる凄まじい文章を見せつけていた。その間に一体何があったのかずっと気になっていた。

かなわない

かなわない

 

『かなわない』での文体はポップな文体とシリアスな文体の過渡期で、ポップな文体の中に突如現れるリアルな叫びが印象に残る。その明度の差が暗い部分をより鮮明に描き出す。闇の中の光なのか、光の中の闇なのか、石田さんが闇で子供達が光なのか。子供がオムツに粗相をしてしまうシーンで子供が一生懸命に謝る場面がある。そのシーンは数年前に目黒で虐待されて亡くなった尊い命を思い出させた。あのシーンは本当にヤバい。悲しみが覆い尽くす文章を久し振りに読んでしまった。

読んでいて思い出したのは毎日読んでいるデイリーポータルZの古賀さんのブログ『まばたきをする体』だった。

家族の毎日が書かれていることでは同じなだけれど、感じ取れる温度も色も全てが違う事に驚く。どちらがいいとか悪いとかの話ではなくて、人が違えば感じることも家族のあり方も違うという当たり前の事を思い出す。そこで思い出したのはPOPEYEの連載で橋本愛さんが書かれていた「子育てに正しいも正しくもない。あるのは美しさだけだ。」という文章だった。