アトピーと生活

ほとんど完治したアトピーの事を中心に

J・D・サリンジャー/村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

最近はサリンジャーのナインストーリーズを通勤電車の中で読んでいた。その流れから、キャッチャーインザライを今更だけれど読んでみることにした。勝手な思い込みで、もっと長い時間の中の話だと思っていたし、ライ麦畑があるようなアメリカ中部の地方の話だと思っていたのだけれど、実際はたった3日間の話でニューヨークを舞台とした話だった。まるで全てが違っていた。

アメリカの有害図書に認定されたとか、主人公があまりに「クレイジー」で出版社から認められなかったとか、そういうハードコアな情報は知っていた。ところが実際に読んでみると、全く有害でもなく、主人公のホールデンは決して「クレイジー」などではなかった。

誰もが通り過ぎる時間の中に存在する3日間をサリンジャーはそのまま文章にしてパッケージングしている。ホールデンが寒い夜のニューヨークの街を、服がびしょ濡れになったまま歩くシーンがあるのだけれど、そのシーンは本当に読んでいて不快になるほどだった。実際に僕の着ている服がびしょ濡れになったのではないかと思えた。

死について、安心できる身近な存在だと思っている。何となく嫌なことが多すぎる。その中でも大切なことを自分の中に確立している。みんなそうだったはずだ。僕もそうだった。そして、重要なのは全員がそうだったという事だと思う。君だけじゃないよ全員がそうだったんだよ。そんな事をちょっと困っている若者に伝えようとしているように思えた。そんな本のどこが一体有害なんだろうか。

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)