アトピーと生活

ほとんど完治したアトピーの事を中心に

部長のオープニングアクト、流れ続ける唾液。

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桜についてのあれこれもひと段落したようだけれど、未だに季節は出会いと別れの春なのだった。新年度の忙しさのせいで、出会いや別れについて忘れていたけれど今日は会社の歓送迎会だった。

若手の幹事がセレクトした店まで歩くと、そこはピンチョスをメーンにしているスペインバルのような店だった。テーブルにはシャンパングラスが既に用意されていて、席が埋まって行ったところから冷たいシャンパンが注がれた。この時点で既に、完全にこの店を選んだ理由は、若手の幹事がいずれ開催するのであろう合コンの下見であることは容易に想像できた。うちの会社の、肝臓の半分以上の機能が停止している幹部達には、このスペインバルは若すぎた。

部長の挨拶で会が始まった。部長が立ち上がり、話をし始めるとほとんど同時に、店内のスピーカーから丁度良い音量でEDMが流れ始めた。大き過ぎず小さ過ぎず、専属のPAでもいるのかと思うほどに丁度良いそのボリュームは、部長の声を決して遮ることなく、部長のリリックと完全に同調し、ひとつのミュージックを完成させた。低音が胸に響くそのトラックに、生真面目な部長が真顔で繰り出すリリックの破壊力たるや、ピエール瀧の保釈時の髪型さえも霞むようであった。

最高のオープニングアクトで幕を上げたフェスは、転出・転入職員の薄ら寒い挨拶などもありとても濃密な時間となった。店の壁には闘牛士と牛の絵が大きく一面に書いてあり、その前に一列で座る数名の幹部職員はIOCの視察団のようであった。僕が座る席からは部長の頭に闘牛の角が刺さっているように見えた。僕が何度も言う「部長ぶっ刺さってますよ!」等の野次に部長は意味が分からずにただはにかむだけだった。無知は愚かである。

そのような大変に荒れた1次会をマイメンのボスと共に抜け出し、2人で別の店で飲み直すことにした。2件目は炉端焼きの有名な店で、目の前で魚や野菜を焼いてくれるのだけれど、どれも素晴らしく美味しかった。ただ目の前の焼き場を任されている男がどう見ても堅気のように見えず、謎の緊張感が漂う。至極個人的な話などをして、魂と魂で共鳴し全額ボスに出してもらった。

店を出て3件目に向かう。昔からある小さな飲み屋で、全て300円という破格の値段で、全てが丁度300円の味がした。コストに対するパフォーマンスが100パーセントだった。隣の席のおじさまや若いカップルに絡み、笑顔で暴れるボスに慰謝料として全額出してもらった。

総じてとても良い夜だった。帰りの電車の中でとなりに座っていた若い男の子が延々とよだれを垂れ流していて、それを初老のサラリーマンがティッシュで口を拭くなどして介抱していた。男の子は時々思い出したようにサラリーマンの顔を見て、ありがとうございますと小さな声で繰り返していた。

家に帰り奥さんとケーキを食べ、ベッドに潜り込んで2人で雑誌を読んでいたら寝てしまい、気付いたら朝で土曜日であった。