キングオブ柑橘類「せとか」の奇跡的な美味しさについて

実家を出て初めて感じた事は両親の有難さとか、一人暮らしの開放感とかそういうものではなくて果物は富裕層の食べ物という事だった。中学校の卒業と同時に実家を出て日本でも有数の頭の良い人たちが集まる高校の寮に入って先輩を鉄バッドでボコボコにして退寮になって高校の近くで一人暮らしを始めた時に自炊という壁にぶち当たった。ところが僕らはデジタルネイティブ。大抵の事は大した事じゃない。必要な調理器具もネットで調べて、贅沢にも柳宗理のボウルやグローバルのペティナイフなどを買い集めた。調理器具を揃えたらあとはクックパッドで作り方を調べてその通りに作りだけ。料理はとても簡単だった。ふた口しかないコンロをどのように回していくかが料理を作るにあたっては重要で、先ずは小さなストウブの鍋でお米を炊いて、その間に出汁パックでお味噌汁用の出汁をとってお味噌汁を完成させる。開いたコンロでお肉を焼いたり魚を焼いたり、しているうちにお米が炊きあがってしっかりと蒸らしてご飯の出来上がり。いただきますというようにそれなりに楽しんで自炊生活を送っていたのだけれど、僕が唯一手を出せないものがあって、それがいつもいくスーパーで売っている果物たちだった。高すぎる。野菜を沢山食べているから果物を特に食べる必要はないのだけれど、時々無性に食べたくなる。しかし高い。僕にとって果物は天然の野生の生のケーキみたいなもので、最高級の贅沢品だった。そんな10代から時計の針はくるくると回り続けて現在。就職をして昼間の時間を犠牲にする事で得たお金と自由で僕は毎日幸せ生きている。お金があると最高で、ビンテージのアアルトのチェアを買えたり読みたい本を何も考えずに買えたり、自分がしたい事をなんでも出来るようになったのだけれど日常的に果物が食べられるようになった。10代の頃は高スギちゃんとか思っていた果物を今では毎日少しづつだけど食べることが出来る。夕食後にほんのすこしでも果物があるとハッピーになれる。

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果物を沢山食べているのだけれど最近良く食べているのが「せとか」という柑橘類で、これがもう本当に今までの柑橘類とは別次元で美味しい。せとかは瀬戸内の方で何種類かの柑橘類の果物をミックスして生まれたのだけれど、そんな事はこのダイバーシティの現代においてどうでも良くてただただ中身が素晴らしいのだ。いわゆるスマイル切りのように半分、半分、半分と切って食べるだけ。特徴的なのは川の薄さでみかんのように薄い。実際に包丁を使って切らなくてもみかんみたいに手で皮を剥いてサクッと食べることも出来る。だからまな板と包丁が無い登山とかピクニックとかに持っていっても簡単に食べる事が出来て美味しい。特筆すべきはその味と食感なのだけれど、簡単に言うとゼリー。果物の皮をむくと中に天然のゼリーが入っている。口に入れた瞬間に水分が爆発する。口の中に広がる天然のジュースの甘み。そして果肉もほとんど繊維質がなくて柔らかい。とろっとろ。ゼリーよりもゼリーだし、ジュースよりもジュース。最近はせとかは「果物の大トロ」とか言われているらしいけれど、果物にナマモノの名前を持って来るなよと思いませんか。魚と果物って相反するものだからやめてほしい。なんか生臭そうで嫌です。大トロじゃなくてゼリーだしジュースだし果物という希有な存在なので既存の食べ物で表現するのが間違っているのだ。歯ごたえの良すぎるホルモンに「肉のタイヤ」なんて称号つけないだろ。それと同じなんだよ。せとかはせとかで、僕は僕で君は君。つい最近まで美味しい果物ランキングの1位はシャインマスカットだったのだけれど、それをいとも簡単にサクッと抜かしてしまうポテンシャルの高さはモノホン。農家がやっている直売所じゃなくて、近くのスーパーとかで買おうとすると異常な高さなので最近では楽天で買っている。農家さんから産地直送でサイズの不揃いなB品を買うのが1番良い。安く買えるのでちょっと1回食べて見てほしい。マジでブッ飛ぶから。